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このブログは色々な人が適当に投稿するブログ

色々な形の円

円って綺麗ですよね。無駄のない感じが最高。
いくら回転させても同じ形。誰が描いても必ず相似形。

ここでたとえ話。
ある日、あなたが「円ってすごいなぁ」とつぶやきながら夜道を歩いていると、
空からUFOが来て宇宙人があなたの目の前に現れたとする。
その宇宙人はほんやくコンニャクをおもむろに食べ始め、「円ってなんですか」と聞いてくる。
あなたはポケットから財布...ではなく、紙を取り出して円を描いてみせる。
すると宇宙人は「鳥目だから暗いと目が見えない。言葉で説明して」と言ってくる。

この時、あなたは宇宙人にどのように説明しますか?
カクカクしてない図形?丸い図形?

数学が少し得意だったらこう言えば良いと思いつく。
「ある点から距離が等しい点を結んでできる図形だよ。」
完璧だ。これで宇宙人に円を伝えられた。
と言いたいところだが宇宙人の脳の中ではあなたの思ってもいない円ができているかもしれない。

ここで距離について復習しよう。
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図のようにある点(a,b)があったとして、原点からこの点までの距離をものさしで測れと言われたら皆さんはどこを測るだろうか。誰もが図の赤い線の長さを測るだろう。
ものさしで斜めの線を測れなくても、三平方の定理を使えば
\mathrm{(距離)}=\sqrt{a^2+b^2}
と表せる。実は、距離がこれで定義される空間をユークリッド空間という。
原点からこの距離が等しくなるところを全て結べばいい。そうすると図のようになる。
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やっぱり完璧じゃないか。

でも、待ってほしい。宇宙人にとっての距離はその定義であってるのか?もし、宇宙人にとっての距離がこのようになっていたら?
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この図のの線を距離と思っていたらどうなるだろうか。実はこれ、数学的にはマンハッタン距離と呼ばれていて、マンハッタンや京都の格子状の街並のようになっていて、間のマスの中にはビルがあり横切ることはできない。渡ることができるのはアベニューとストリートだけという距離の考え方だ。この時の距離の定義は
\mathrm{(距離)}=|a|+|b|
となる。もし宇宙人にとっての距離がこうならば円はこのような形になる。
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ひし形やん...。

このように、距離の概念が違うと図形そのものが変わって来る。数学的には距離はある条件さえ満たせばなんでも良いので、距離の定義を明らかにするのはとても大切だ。例えば、思い切って
\mathrm{(距離)}=\sqrt{a^2-b^2}
という定義を使ってもok。馴染みの定義に似ているが中身をよく見るとマイナスになっている。この場合の円はこれ。
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もはや囲まれた図形ですらない。これは双曲線関数だ(適当に書いた)。このような空間をミンコフスキー空間と言って、一見役にたたなさそうだが特殊相対性理論などでは大活躍し、これを使えば、かの有名なE=mc^2も理解できるようになる。この空間上に引かれる運動を表す線のことを世界線と読んだりする。

ここまでの話で円にも色々あることがわかったと思う。したがって宇宙人にはこう返すべきだ。
「私たちには距離がある。」